ハガ連についていろいろ
「夢の果て」中編1です。
興味のある方はどうぞv
いつ、どこで眠ってしまったんだろう。
ロイはそう思いながら、重い瞳を開けた。
意識が茫洋とした中であっても、どこか奇妙な違和感を体全体に感じていた。
ベッドに横になったまま、その手を上げようとしても、うまく右手が上がらない。
足を動かし、ベッドから降りようとしても、うまく足が機能しない。
昨日までは自由自在に操っていた自分の体を思うように動かせない。
どこか体の機能を損傷してしまったかのようなその感覚に、ロイは焦りを感じ、無理矢理にその半身を起した。
体を動かせているのかどうか感覚ではわからない。
ただ、自分で自分の体を見下ろせば、確かにこの上半身をベッドから引き離すことができていた。
それでも、自分の体が自分のものではない感覚に、目覚めたばかりの意識は急速に覚醒していった。
この部屋の中に流れる空気、人の気配、そのすべてを知ろうと、全神経を張り巡らせる。
もしも自分が何かの事故に遭い、今のような状況にあるというのなら、ここは病院であるはずだとロイは思った。
だが、部屋の中を見渡したロイの視界の中には、それをにおわせるものは何一つなく、ただ、古く崩れ落ちそうな壁と、一脚の椅子と足の高いテーブルがあるだけだった。
がちゃり。
と。
唐突にドアが開かれた。
ロイが振り向く間もなく、その声がこの狭い部屋の中に響きわたる。
「ローイ、もういい加減観念したか?大人しく、いい子で寝てマスカー?」
きししと笑い声を上げて、その声の持ち主はロイを見た。
そうして、手にしていた茶色い小さな紙袋からオレンジを1つ取り出し、
「見舞い品」
そう言って、ロイに向かって優しく放る。
しかし、呆然としたまま、瞬き一つできなかったロイはそれを受け取ることはできなかった。
ただ、その姿を目に焼き付けるように凝視する。
声も出なかった。
会えるはずがないと思っていた。
もう二度とその声も聞くことはないと思っていた。
それが、夢のように、今、現実に彼がそこに立っている。
オレンジはベッドから床に転がり落ちていき、そのまま彼の足もとにゆっくりと転がっていった。
「あ~あ~何してんだよ、貴重なフルーツだぞ。これ手に入れるのに、アルがどんだけ苦労したと思ってんだよっ。有難く受け取れっつうの。」
夢か。現実なのか。判断がつかない。
だが、オレンジが胸に当たった感触は確かにあって。
ロイはだらりと下ろされた手を上げようとして、不意にはっきりとした違和感を覚えた。
体だけではない。
さっきから、はっきりとそれは示されていた。
塞がれていない。
視界が広ろがっている。
今、ロイの世界は、片目を塞がれた狭まれた世界ではなかった。
世界がはっきりと両目に映し出され、光がロイの世界を覆っていた。
ロイは呆然と自分の手を見つめた。
見たことのない部屋。
思うように動かない体。
そして。
今いるべきでない者の姿。
ロイは彼を見据えたまま、声をようやく絞り出した。
「・・・・ここは、どこだ。」
あえて、名前を口にしないまま、問う。
問われた者ーエドワードは、怪訝な顔をして腰に手をあてた。
「・・・・・ミュンヘン。ついてでに言うと、1925年1月12日、ただいまの時刻は午前9時25分・・・で、どうよ?」
口をへの字に曲げて、その金の目でロイを睨み据えてそう言い捨てる。
ロイは笑いだしそうな自分を抑えるために、口元に手をあてた。
これは果たして本当に現実なのか。
それとも世界を捻じ曲げてしまうほどに焦がれてしまったのか。
どちらにせよ、あまりにも自分が滑稽で。
世界を捻じ曲げて見せるほどに。
莫迦らしい夢を見てしまうほどに。
それほどまでに相手を思い焦がれていたのかと思えば、哀れで滑稽で腹の底から笑いだしてしまいそうな気分だった。
「エドワード・・・。」
呻くように呟いた一言にエドワードが訝しげに眉を寄せる。
「・・・何か、あんた、変だぜ?」
そう言ったエドワードに言葉を返そうとして、やっとロイは気づいた。
エドワードはロイを見ても何ら態度を変えることはなく。
親しげな笑みを浮かべ、名を呼び捨てた。
「ロイ?」
ロイは再び声を無くし、その心を急速に冷やしていった。
続く
ロイはそう思いながら、重い瞳を開けた。
意識が茫洋とした中であっても、どこか奇妙な違和感を体全体に感じていた。
ベッドに横になったまま、その手を上げようとしても、うまく右手が上がらない。
足を動かし、ベッドから降りようとしても、うまく足が機能しない。
昨日までは自由自在に操っていた自分の体を思うように動かせない。
どこか体の機能を損傷してしまったかのようなその感覚に、ロイは焦りを感じ、無理矢理にその半身を起した。
体を動かせているのかどうか感覚ではわからない。
ただ、自分で自分の体を見下ろせば、確かにこの上半身をベッドから引き離すことができていた。
それでも、自分の体が自分のものではない感覚に、目覚めたばかりの意識は急速に覚醒していった。
この部屋の中に流れる空気、人の気配、そのすべてを知ろうと、全神経を張り巡らせる。
もしも自分が何かの事故に遭い、今のような状況にあるというのなら、ここは病院であるはずだとロイは思った。
だが、部屋の中を見渡したロイの視界の中には、それをにおわせるものは何一つなく、ただ、古く崩れ落ちそうな壁と、一脚の椅子と足の高いテーブルがあるだけだった。
がちゃり。
と。
唐突にドアが開かれた。
ロイが振り向く間もなく、その声がこの狭い部屋の中に響きわたる。
「ローイ、もういい加減観念したか?大人しく、いい子で寝てマスカー?」
きししと笑い声を上げて、その声の持ち主はロイを見た。
そうして、手にしていた茶色い小さな紙袋からオレンジを1つ取り出し、
「見舞い品」
そう言って、ロイに向かって優しく放る。
しかし、呆然としたまま、瞬き一つできなかったロイはそれを受け取ることはできなかった。
ただ、その姿を目に焼き付けるように凝視する。
声も出なかった。
会えるはずがないと思っていた。
もう二度とその声も聞くことはないと思っていた。
それが、夢のように、今、現実に彼がそこに立っている。
オレンジはベッドから床に転がり落ちていき、そのまま彼の足もとにゆっくりと転がっていった。
「あ~あ~何してんだよ、貴重なフルーツだぞ。これ手に入れるのに、アルがどんだけ苦労したと思ってんだよっ。有難く受け取れっつうの。」
夢か。現実なのか。判断がつかない。
だが、オレンジが胸に当たった感触は確かにあって。
ロイはだらりと下ろされた手を上げようとして、不意にはっきりとした違和感を覚えた。
体だけではない。
さっきから、はっきりとそれは示されていた。
塞がれていない。
視界が広ろがっている。
今、ロイの世界は、片目を塞がれた狭まれた世界ではなかった。
世界がはっきりと両目に映し出され、光がロイの世界を覆っていた。
ロイは呆然と自分の手を見つめた。
見たことのない部屋。
思うように動かない体。
そして。
今いるべきでない者の姿。
ロイは彼を見据えたまま、声をようやく絞り出した。
「・・・・ここは、どこだ。」
あえて、名前を口にしないまま、問う。
問われた者ーエドワードは、怪訝な顔をして腰に手をあてた。
「・・・・・ミュンヘン。ついてでに言うと、1925年1月12日、ただいまの時刻は午前9時25分・・・で、どうよ?」
口をへの字に曲げて、その金の目でロイを睨み据えてそう言い捨てる。
ロイは笑いだしそうな自分を抑えるために、口元に手をあてた。
これは果たして本当に現実なのか。
それとも世界を捻じ曲げてしまうほどに焦がれてしまったのか。
どちらにせよ、あまりにも自分が滑稽で。
世界を捻じ曲げて見せるほどに。
莫迦らしい夢を見てしまうほどに。
それほどまでに相手を思い焦がれていたのかと思えば、哀れで滑稽で腹の底から笑いだしてしまいそうな気分だった。
「エドワード・・・。」
呻くように呟いた一言にエドワードが訝しげに眉を寄せる。
「・・・何か、あんた、変だぜ?」
そう言ったエドワードに言葉を返そうとして、やっとロイは気づいた。
エドワードはロイを見ても何ら態度を変えることはなく。
親しげな笑みを浮かべ、名を呼び捨てた。
「ロイ?」
ロイは再び声を無くし、その心を急速に冷やしていった。
続く
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