ハガ連についていろいろ
ろいえど「夢の果て」です。
興味のある方はどうぞv
「夢の果て 前篇」
瓦礫と化そうとしている扉の向こうへ金色の髪をなびかせて消えようとしてる。
待てと叫びだしたい思いを胸に隠し、君を必要とする者を、気づかれぬようにその扉の向こうへと送りだす。
迷いなく背を向けた君に対する、それは私なりの答えだった。
自分のなすべきことを違えずに歩きだす君に。
私のせめてのはなむけを。
憂いを残すことなく新しい道へ歩き出せばいいと、笑みを浮かべ君を見送った。
それがうすっぺらい私の矜持であることなど、過ぎ去る時がいともたやすく暴いていく。
君を思う男のなれの果ては。
ただ夜を越すごとに苦しみ喘ぎもがき。
シーツに汚れた汗をにじませる。
愛情とは真逆な思いを増幅させて、薄汚れた思いに夜を汚していく。
今日もまた、あのときの場面を夢に見た。
ロイは浅く息を吐き、汗で張り付いた髪をかきあげた。
「・・・いい加減・・・私もしつこいな。」
そう苦笑気味に呟きながら、ベッドの上から、僅かなカーテンの隙間から覗き込む光に目をやった。
いつのまにかやってきた朝。
今日は少しは眠れたらしい。
ロイはそう認識しながらも、体に残るけだるさを未だ感じていた。
眠った気がしなかった。
日を追うごとに鮮明になってくるあの場面に、いつも身を切り裂かれるほどの胸の痛みを感じて、精神が疲弊する。
体を休めるどころか、眠るごとに、ロイの体は力をそぎ落とされていくようだった。
後姿を見せる彼に、叫びだしたい思いを塞ぎ、彼の弟を扉の向こうへと送る。
例え夢であっても、その瞬間が繰り返されるたびに、襲いかかる悔恨の念。
その思いを体中で感じる夢を見て、精神が疲弊しないわけがなかった。
「全く・・・たちが悪い。」
唇の端をわずかにあげて、そう言い捨てると、疲弊したままの体をベッドからおろし、そのまま部屋の外へと向かうべく、ドアへと歩いていく。
部屋のドアを開けてしまえば、錆びついた過去はロイの心の奥底に潜み忍び込んでいき、また、彼を失くしたいつもの日常が塗り重ねられていくのだ。
「大佐・・・・今日はもうお帰りください。」
その声に、沈んでいたはずの意識が浮き上がった。
ロイは、額に手をやり、軽く頭を振った。
「ああ・・・済まない。私は眠っていたのか。」
手元を見ると、さっきから手にしていたはずの報告書がくしゃくしゃになって、机の上で横たわっていた。
無意識のうちにそうしてしまっていたらしい。
部屋を見回せば、幾人か残っていたはずの部下もいない。
この部屋に残っているのは、ロイとホークアイだけであった。
ロイが顔を上げると、気遣わしげに瞳を曇らせるホークアイがいた。
「働き過ぎです。大佐。少しは体を休めないと・・・・。もう今日はお帰りください。急ぎの仕事はすでに終わりました。」
「・・・・・ああ、けど、家に帰っているほうが、疲れてしまうんだ。」
暗くなってしまった窓の向こうをぼんやりと眺めながらいうロイに、ホークアイは次に継げる言葉を失う。
「大佐・・・。」
「眠るたびに疲れていく。今はベッドのあるあの家に帰ることが怖いよ。」
「ここにもベッドはあります。」
間髪入れずに入ったきたホークアイの言葉に、思わずロイは笑った。
「いや、それはわかってるがね。」
「家に帰ることがいやで・・・いろんな方の家を渡り歩いてらっしゃるんですか?」
思わぬ直球の言葉に、ロイは一瞬言葉に、詰まった。
「珍しいな、君が私生活に口を出してくるなんてことは。」
苦笑して、ホークアイを見つめる。
「そうしなければならないほどに・・・・噂になっています。大佐。」
痛みをこらえているかのような瞳がロイを見下ろす。
ホークアイがここまでに苦言を呈するということは、相当にロイにとってその噂は悪い方向に向かっているのだろう。
ロイは、ここ数か月の自分の荒行を顧みて、それも致し方がないと笑った。
「眠れないんだ。どうしても。」
背もたれに体を預け、窓の外を見た。
「眠ると嫌な夢を見て、かえって、疲れが取れない。夢を見ないためにはどうすればいいのかずっと考ていてね。だけど、駄目なんだ。何をしても嫌な夢を見続ける。」
ホークアイは唇を引き締めて、溢れそうになる言葉を無理矢理に押し込めているようであった。
ロイは苦笑する。
「馬鹿な男だ。君がどう思っても仕方ないと思っているよ。」
「私が何を思うと言うんですか。」
きつく目をすがめて、ホークアイがロイを見据える。
ロイは自分が失言したことに気づいた。
ひたすらに自分を信じて、自分を待ち続けた部下に言うべき言葉ではないことに気付く。
「済まない。私の独り言だ。・・・・噂になっていることに対して言い訳はしない。だが、私はあらためるつもりはない。」
「大佐」
「私も今日は家に帰るよ。だから君も早く家に帰りたまえ。君はきっと私以上に疲れている。」
そう言って穏やかに微笑むと、ロイは椅子に背を預けたまま、ホークアイに背中を向けた。
言葉すらも拒否する上司に、ホークアイは為すすべもなく、その場に立ち尽くした。
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ときどき、短いお話を書いていけたらと思っています。
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